世界の救い方解説【Dragoon】

2023/04/06オルト

3年前、バンド名を「アニングスドラゴン」として始動することが決まって私は焦っていた。

 

ベースのひとみっちが急遽バンドに参加することになって以降、
名前が変わる前まで目指していた音楽性のままだと「なんで私ここにおるん?」
という感じになってしまって、出来たばかりのバンドが空中分解してしまう可能性があったからだ。

 

つまり「これぞアニングスドラゴン」という感じでメンバー全員を惹きつけるような、
決戦兵器としての新曲の開発が待ったなしだった。

 

 

当時のノートを見てみると「ドラゴンラテン(仮)」という仮のタイトルがついていた。

ベースのひとみっちは以前、私も在籍していた「クアルテートリプリ」というバンドのベースだったこともあって新曲ドラゴンラテンは

 

クアルテートリプリの全ての曲を凌駕する火力をそなえ、
その上で、これまで作ってきた楽曲との連続性(物語)を感じさせつつ、
だが、新しいバンドであることを示すためのスクラップ&ビルドが必要で。

 

「沈んだ以前の船と同じ目的地を旅している新造船」であることを示す曲。
当時そんな思いだったと思う。

 

結果「Dragoon」として完成した曲は、楽曲は新しいバンドサウンドだけど
歌詞にはふんだんに過去の楽曲のフレーズを盛り込んだ。

 

サビの「ぼくら誓いを立てよう」というフレーズは、クアルテートリプリの
「黒い星」とまったく同じサビの歌詞でわざとそうしている。

つまりこの曲のストーリーは「黒い星」の後半の「あの丘に向かっていた」というシーンから
しばらく数年たった時系列のお話である。

 

「ぼくにもまだ見える黒い星がほら」
なんて希望を持ってラストを迎えた主人公は、
「Dragoon」の直前の時系列までにいったん絶望していることになる(笑)

 


 

「Dragoon」のサビには「あの丘」という言葉も出てくる。

これは私の曲に何度も登場する場所で、じつは実在する場所の記号である。

 

そこは広島にいた頃にバイトしていた「スタジオマコマ」という、
6階建てのビルの一番上の階にある音楽スタジオで、エレベーターが無い。

 

そのことはたとえ話として「黒い星」に詳しく描いた。
その場所は「水平線の向こうに」「おやすみ」などでも描かれている。

私はそのスタジオで色々な人に刺激を受け、
同じ目的を持つ仲間と呼べる人々と過ごした忘れられない場所なのだ。

 

「Dragoon」サビの後半「水平線の向こうを目指せ」というフレーズも、
「水平線の向こうに」「青い車に乗って長い旅に出よう」という曲に詳しく描いたフレーズ。

この船の目的地を示すために入れた言葉である。

 

 

 

 

この「Dragoon」という曲は「Dragoons of Fortune」という言葉で締めくくられている。

これは私の造語というか造熟語で、
Soldier of Fortune という熟語が元になってる。

 

Dragoonは「竜騎兵」と訳されるので、同じ「兵」であるSoldierと入れ替えた。

ソルジャーオブフォーチュンの熟語の意味は「冒険家」

 

Dragoon「竜騎兵」は、全身を鎧で覆った兵士のことで、
現代を生き抜くには心を鎧でガッチガチに固めてないと無理ゲーという思いも込めた。

 

表面的な意味は歌詞を読んでいただけたら分かると思うが、
じつは裏の意味をもう二つ入れ込んだ歌である。

その解説は色々問題があるのでやめておく。

 

上にリンクを貼ってる曲郡と一緒に読み解けば、普通の読解力があれば、
もう一つの意味は分かると思う。

シングル盤ジャケットをお願いした雨海さんには痛いところを突かれてしまって驚いた。
彼女は素晴らしいアーティストだと思う。