「クリームの素晴らしき世界」は素晴らしいのか?
昨日は仕事中に「クリームの素晴らしき世界」を聞いていた。なんと30年以上ぶり。
このアルバムはクリームの最高傑作と言われており、
このアルバムは高校生の当時読んでいた雑誌「ヤングギター」に、絶対聞け、
と、しょっちゅう出てくるアルバムだったが、2枚組のため4,000円くらいする。
同列に「絶対聞け」と書いてあるジェフベックのブロウバイブロウは
1,600円くらいの安いシリーズが出ていたのですぐ買った。素晴らしかった。
なので、同じくジェフベックのラフ&レディを買ったらめちゃくちゃハマって、
第2期ジェフベックグループの虜になってしまった。
それと同列に雑誌に書いてあるのがクリームだ。名盤に決まってる。
その名も「素晴らしき世界」だし、
先輩のクラプトン話についていけなかったのが悔しかったのもある。
10代の私にはキツい出費だったが、人生最高の出会いになることを信じて買った。
家に帰ってワクワクしながら、封を切り、コーヒーを用意してからステレオを鳴らした。
信じられないことが起きた。良さがまったく分からない。
分からない自分がダメなのか??
しかしストーンズ、ツェッペリン、ジェフベック、ビートルズはすぐ好きになった。
初クラプトン体験は「分からない」という衝撃で強烈な思い出となった。
ある意味ロックの洗礼だった気もする。
今聞いてみると、ジェスロタルやシドバレットの頃のピンクフロイド的な曲もあり、
MC5のようなやんちゃ感も感じれて、面白いアルバムだった。
60年代末期ロックの時代感がそう感じさせるんだろう。
ベックボガードアピスやカクタスとかとは違うスタイルのトリオで、
パワーロックトリオと捉えて聞くと、ずいぶん変なアルバムだ。
ジンジャーベイカーとジャックブルースがジャズ畑なので、
クラプトンのロックギターとのバランスがおかしなことになっている気もする。
そして、そこがカッコいい。
つまり、相当にロックに夢中な人でない限り、分からないのは当然と思う。
10代の頃のこの体験からか、クラプトンに苦手感があったんだけど、
久しぶりに聞いたことで、少し好きになれた。
私がクラプトンが苦手だったもう一つの理由は、もしかすると
「時代に合わせて変化し続けているイケメン」
だからかもしれん。
(今考えてみると、この要素、良いことしかないんだが。)
上手く世渡りしているような気がして、ロックらしくないというか。
(真逆はやりたいことをやって死んだロックスター)
昔はロン毛でサイケカラーのギブソンSG、
初めて知ったころは、ジャケットにチノパンで黒いストラトにヒゲ。
(しかもバッドラブというレイラのセルフコピー品を弾いてた時代)
その後はアンプラグドでメガネのイケてるおじさんアコギ弾き。
ジェフベックは時代をいつも読み間違い、
ジミーペイジは再評価される10年周期しか出てこない。
「時代に合わせれるセルフプロデュース能力にたけたイケメン」
という器用なクラプトンを愛せなかったのだが、
ベックとペイジはもうちょいうまくやって欲しい気もする。
今聞く「クリームの素晴らしき世界」は名盤だとは思ったが、
それを書く場所はヤングギターじゃないだろと。
ヤングギター買ってる人がこのアルバム買ったら困惑するだろと。
そういうことはロッキンオンの仕事だろと。
しかし、今でもB面の長い長いインプロは最後まで集中して聞ききれんかったのだが。。