
2ND ALBUM「約束の地」に込めた想い
1ST ALBUM 「世界の救い方」からちょうど3年。
この3年のあいだに、世界はずいぶん変わってしまいました。
コロナがあり、戦争があり、
それまで遠い出来事のように思っていたものが、
個人の生活や感情の中にまで入り込んでくる。
次の作品こそ愛のファンクロックを作りたい
と思っていたのですが、
歌詞を作っている以上、この世界の暴走に、
まったく無関心でいることが誠実とは思えず。
だからこのアルバムは、
時代に引っぱられて出来た作品でもあるし、
時代に飲み込まれないために作った作品でもあります。
1ST ALBUM「世界の救い方」では、
対人関係の傷や生きづらさを抱えた主人公が、
閉じこもったり、人を拒絶したりするのではなく、
憎しみやネガティブな感情さえ燃料に変えながら、
自分を救っていく姿を描きました。
最後は、
「この星の全員が、自分の隣にいる人を愛していけば、世界は変わるはずだ」
という願いを込めて終わっています。
希望を込めて、
ファンタジーで物語を終えましたが、
予想を超えて世界は泥沼に入ってます。
製作期間だった3年の間にも、
現実は、どんどん苛烈になっていきました。
そして、セカンドアルバムは1STの続編として
「世界を滅ぼす破滅の光」
で始めることになりました。
「世界の救い方」で終わった1ST続きのセカンドは
「世界の終わり」から始まっています。
「Decay for silence」という曲のストーリーは、
世界の半分の人がゾンビになってしまって、
ゾンビを倒さなければ世界が終わる、ってお話。
ここまではよくあるゾンビもの。違うのは、
「ゾンビ側から見たら真逆に見えている。」
どっちも相手側がゾンビに見えていて、
倒さなけりゃならんって本気で信じてる。
感染源はネットを通じて広がる嘘、フェイク、陰謀論。
誰にも止められないし、全ての人が感染しているのに、
全員が「自分はまとも」と信じて疑わない。
やがて小さな争いやいざこざは、
徐々に世界を巻き込んだ最終戦争へと発展していく
という物語。
これはフィクションの形をした、
今の世界そのものでもあると思っています。
私は曲を「1本の映画」となるよう
作るようにしているのですが、
今回のアルバムは8曲全曲で、
ひとつのストーリーを紡いでいます。
タイトルの「約束の地」については、
色々な意味を込めています。
それは争いの絶えない理想郷の名前だけでなく
分断された世界の中で、
他者ともう一度つながる場所、
自分自身ともう一度つながる場所、
壊れてしまった心や関係を、
少しずつ赦しあっていくための場所。
このアルバムでは、
世界で起きている異常な現実を、
ひとりの主人公の日常5メートル以内まで
ダウンサイジングしています。
ニュースの中の戦争や分断ではなく、
毎日の暮らしの中で、
人と人がどうすれ違い、どう傷つけ合い、
どう赦し、どう手を伸ばすのか。
その距離まで引き寄せて描きました。
つまり『約束の地』は、
分断された世界から、
自分と他者、そして自分と自分が
再接続していくまでの物語です。
大地を焦がす閃光で始まったこのアルバムは、
最後に、命をつなぐ光へとたどり着きます。
光によって壊された世界が、
光によって癒され、満たされていく。
同じ「光」でも、
それが破壊にもなり、救いにもなる。
その反転まで含めて、
この作品の大切なテーマになっています。
たとえ話も多く、比喩も多い作品なので、
伝わってほしいという想いを込めて、
このアルバムを原作としたSF小説も書きました。
初めてメディアミックスという手法での創作です。
音だけでも届いてほしい。
言葉でも届いてほしい。
物語としても届いてほしい。
そんなふうにして作ったのが、
ANNING’S DRAGON 2ND ALBUM
「約束の地」です。
完成したらぜひお聴きください。
この3年間、この作品を一緒に作ってくれた、頑張って支えてくれたメンバーのみんな、
そしてゲスト参加してくれたミュージシャンの皆様、
制作に最後まで尽力してくださった竹内さん、
数々のご意見を頂き、ご支援頂きました皆さん、
心から感謝しています。
再び始めたこの物語を、きちんと収束させるべく、
完成まで走りきります。
これからもよろしくお願いします。
そして重ねて、御礼申し上げます。
本当に、ありがとうございます。
…次こそ愛のファンクロックアルバムを
作らせてくれ、世界。
