Novel based on the album “約束の地” 崩れた高速道路。 燃える車。 「何でこんなことになっちまったんだ…」 銃声。爆発。 「ゾンビだ!撃て撃て!!」 腐った顔の群れが、うねるように押し寄せてくる。 自動小銃をフルオートで、目の前の一群を薙ぎ払う。 砕ける顔。 ボロボロと崩れながら、そのゾンビが…
「―――!!」 水測室に、鋭い声が走った。 「スクリュー音、多数感知!」 潜水艦の艦内灯がわずかに揺れる。 「エンジン停止、舵そのままー。深度百。 潮流速えぞ、気ぃつけろ」 横井艦長の低い声に、艦内の空気が張りつめた。 「音からすると、アイオワ級戦艦とフリゲート三隻ですね」 「音、立てんなよ。はぁぁ、たいぎぃ…」 横井…
「アジトが地底王国とは恐れ入ったな」 「黙って歩け。」 軽口をたたくインディの背中を、米田が銃口でつついた。 インディの隣を歩く文子は振り返らない。 その後ろにも二人。 小銃を構え、距離を保ったまま進む。 通路は狭く、天井は低い。 靴音が、湿った壁に吸い込まれていく。 どこかで、水が滴る音。 やがて通路が開けた。 巨大…
- 仁徳天皇陵 外堀- 堀の水は、思ったより冷たかった。 澱んだ重い水は生臭く、 泳ぐたびに水を切る音は水面に吸い込まれていく。 真っ黒に染まった水面の先に、 茂みがかった岸がぼんやりと浮かんでいる。 文子はインディより、ずっと先を泳いでいた。 インディは悪態をつきながら、息荒くもがくように泳いでいく。 インディが、水…
山奥。 インディと文子は、静かな宿の部屋にいた。 湯の匂いと、枯れた木の匂い。 インディは入口の襖に手をかけてみる。 ――開かない。 外から、鍵が掛かっている。 背後から、着物がするりと落ちる音。 思わずインディは振り返った。 一瞬、背中が見える。 古い傷の跡。 一箇所じゃない。 芸妓の装いはもうない。 黒を基調とした…
路地。提灯の赤。 人ひとりが、横向きになってようやく入れる隙間。 インディと芸妓は息をひそめていた。 ——そのとき。 路地の向こうから、かすかなエンジン音が近づいてくる。 インディは、壁に身体を押し付け様子を伺った。 目の前で小さなエンジンが、バタバタと音を立てて止まった。 オート三輪だ。 荷台の幌の中には、いくつもの…
次第に暗くなりはじめた夕方の花街。 華やかな夜に向かって、石畳を業者や舞妓が行きかう。 細い通りは迷路のように路地が交差している。 ときおり三味線の音が聞こえてくる。 インディはスーツケースを片手に、狭い石畳を歩いていた。 だがその背後に、規則的に響く靴音──2人、3人…いや4人。 うち1人は革靴。あとは重い靴音… 尾…
1950年、アメリカ・プリンストン大学 午後の柔らかな陽光が、講義室に注ぎ込んでいた。 「——つまり、八咫鏡の伝承は単なる神話ではなく、 大陸の古層文明との接点を示している可能性がある」 チョークを置いたインディアナ・ジョーンズ博士が、ゆっくりと学生たちを見渡した。 「なにか、質問は?」 学生たちはざわつきながら、ぞろ…
・プロローグ - 1274年 文永の役 - 蒙古軍は九州の北岸沖に、無数の艦隊を展開していた。 湾から見える海は船団で、埋め尽くされていた。 殺戮の限りを尽くし、敵を圧倒した後の一時の休息。 蒙古軍は激しい上陸戦の末、日本軍を押し込みつつあった。 一方で彼ら自身も大きな損害を受け、 艦隊は翌日の再編に備えて静かに停泊し…
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