
【読了】ダーウィンの呪い
ダーウィンの言ったとされる言葉。
—最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き残るのでもない。唯一生き残るのは、変化する者である。—
ビジネス書でたびたびお目にかかるこの言葉。
実は、ダーウィンの言葉ではないそうです。
マジか!
どうも「進化論」という学問は、
為政者に都合の良いように政治利用されていた
ということらしい。
ダーウィン以降の社会や思想がどうなってたか。
この部分を読むのは怖かったです。
当時の優生学者たちは、こんな理屈を組み立てた。
人類の社会は弱者を守るので「淘汰」が起きにくい。
すると、本来淘汰されるべき、
生存に適していない人類が生存する。
んで、子孫を増やす方は弱者で、
高等教育を受けている者ほど、子供が少ない。
そうなると、弱者の遺伝子が溢れ、
優秀な遺伝子の方が淘汰されていく。
結果、人類全体が滅亡の道を歩む。
…確かに…って思っちゃいましたよ。
「なるほど理論」には感じます。
んで、結果起こったことが恐ろしい。
弱者と判断された女性の避妊手術。
身体の弱い、病気だったり、
頭が弱いとされた子供を●す。
ほぼ善意で行われてたんだって。
それが、最終的にはホロコーストにまで到達。
これを「優生学」と言うらしい。
やっべー、当時の人たちが、
良かれと思っての結果がこれですよ。
ダーウィン自身は、進化=進歩とは言ってなくて、
「より高等になる」
「より優秀になる」
「人間に近づく」
という意味じゃないんだって。退化も進化。
本当の進化は、良くなることでなく、
環境との関係で変化が起こること。
それをミスリードして、
「弱い者は淘汰される」「勝つものが正しい」
として、社会的な話にすり替えられる。
この「科学っぽい」話が倫理観をぶっ壊して、
権力・競争・選別を正当化し、
結果、植民地主義や人種差別、
そして「役に立つ人間/役に立たない人間」
を分ける考え方へとつながっていった。
それが教育現場にまで染み込んだ。
これ……昔の話じゃなくて、
現代もなってませんか。
イイネの数、再生回数、フォロワー数。
ネット上の評価が、その人の価値
みたいになってませんか。
後半は面白かった。
本書によると現在、哲学を叩きこんだAIによる、
人間への教育が試されているらしい。
でも著者は反論する。
仮に、完全に倫理的な人間が出来あがったら。
その人は、倫理的な人でも、良い人でもないし、
ぜんぜん社会に良い影響にはならんのだって。
全ての時間を人のために使い、規範を守り、
「正しさ」のために生きている人となる。
たしかに…
この本で感じたことは「完全な正しさ」
を掲げた結果は、
いつか「完全な間違い」に到達するのかもしれない。
いくらゲノム編集で完璧な人類を作っても、
品種改良され過ぎた植物のように弱くなるのかも。
過去の過ちを繰り返さぬよう、
人類の過ちの歴史を学んで、良い人類に…
おっとお!いけねぇ。
「進化せねば」の呪いが抜けてねぇ。
じゃあ、人はまた繰り返してしまうのか。
禅問答のような問いが残る書でありました。
SFショートショート、1本書けそうです。
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