
クリスマスソングを書きたい―脳内会議を晒します―
一生に一度はクリスマスソングを書いておきたい。
そう思ったんです。
坂本龍一
「Merry Christmas, Mr. Lawrence」みたいな。
ジョン・レノン
「Happy Xmas [War Is Over]」のような、
めちゃくちゃカッコよくてロマンチックなの。
今から書けば、今年のクリスマスに間に合う?
と、ノートを取り出し書き殴りまくる。
どっちの曲も戦争とX’masの掛け算。
ジョンレノンよりエグいの書きたい。
プレゼントか。うーん…
トナカイのロゴが入ったのが、
某国から落ちてくるとかどうかな…
極寒の発射基地。各システム正常。
燃料パイプ、各ケーブル離脱確認。
全てオールグリーン。
了解。最終安全ロック解除。
シェーヴェルヌィ・アリェーニ、リフトオフ。
カウントダウンが始まる。
シャン……シャン……シャン……
子供:
「ママ、サンタさん来るかなぁ」
母:
「いい子にしてたら来るかもね」
トナカイのマークが入った”それ”はゆっくりと、
しかし確実に上昇を開始する。
オレンジ色の炎が夜空を切り裂き、
降りしきる雪を溶かしていく。
轟音は空間そのものを歪ませるかのようだ。
幾重にも立ち込める白煙を突き抜け、
ロケットは天へと伸びる一直線の光の道を創り出す。
…
あかーん!!全然ロマンチックじゃねぇ。
大量破壊兵器をプレゼントしようとしたのは誰だ。
リテイク!リテイク!
大きなリボンが付いた小包が届いた。
誰だろう。
彼女もいなければ親から来るはずもない。
――開けると、拳銃だった。
「拳銃 from Santa Claus」
♪カッコいいイントロがどーん!
だめだー!!いや、続きが気になるけども。
どうもプレゼントが、別の意味になっちまう。
どうやったら面白いX’masソング書けるんだろ。
もう全部出尽くしてる。
あとさ、ドラマでよくあるじゃん。
最終回、イルミネーションの街で
サンタが近づいてきて「グサッ」「…え?」
「あいつ、おそいなぁ」【完】
何度見た、このシーン。
どうも、あのベタドラマに引っ張られちまう。
まずは、坂本教授とレノンから離れよう。
(いや、近づいてないけども)
状況、年代を変えたらドラマになるはず。
――1641年 五島列島
灯りが漏れないよう隙間を塞いだ家。
満天の星。密かな祈り。近づいてくる舟。
ぼくはワクワクして仕方なかった。
異人さんは、宇宙の話、外国の話。
いろんな話をしてくれるんだ。
世界は広い。今日はみんなやさしい。
そして沢山のごちそうも出るんだ――。
あかん。フラグが立ちまくってる。
その舟、乗ってるのは本当に異人さんなのか。
火垂るの墓級のトラウマX’masソングが
出来上がるとこだった。
なして隠れキリシタンを題材にしようとした。
「こんなクリスマスソングは嫌だ」
大喜利大会になってしまっている。
不幸×クリスマスから離れよう。
楽しいの行こ!リテイク!
「クマだぁ!」にげろぉ―!
なんで、オレめがけて一直線に走って来るんだ。
相手が速すぎる。死んだふり! 目をつむる。
――クマの匂う息が顔に。もう、だめだ。
直後、クマは
オレの顔に自分の頬をスリスリし始めた。
お前は、もしかして「クロ」??
それは「クマスリスリソング」じゃろ!
いや…これ弾き語りストがやってたら、
ふつうに受けそうだな。そしてちょっと泣けそう。
だが、オレの目的は教授やレノンクラスの
ロマンチックなX’masソングを書くこと。
一生に一度だけの。リテイク!
自分にしか書けないクリスマスあるじゃろ。
妻はもう寝た。子供たちはひとり立ち。
今日は少しだけ高いハイボール。セブンケーキ。
裂けるチーズ。ポテチ。
テレビに映るガンダムを眺める静かな夜。
――セルフプレゼント、か…
恋人はサンタクロースならぬ、
オレ自身がサンタってわけだ。
スマホの着信音。ラインだ。娘だった。
「めりくりー!」
オレは少しだけ微笑んだ。
いや…リアルすぎて、お父さんたちぶっ倒れるわ。
いつもオレの脳内はこうなってるんだけどw
数々の「こんなクリスマスソングは嫌だ」
大喜利大会が過ぎ、ようやくたどり着きました。
今、一生に一度のクリスマスソング書いてます。
出来上がると良いなぁ。
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