【ロックの洗礼】尾崎豊との出会い

2025/07/05オルト

尾崎は中学時代のオレの前に突然あらわれた。

 

当時、ブラスバンドでトロンボーンを吹いてた私。
コルネットを小学生の頃から吹いてたけど、あくまでそれはひとりの世界。
初めてみんなで作り上げる音楽「バンド」との出会い。

 

部活動以外の学校生活は荒れてたし、いじめられていたので最悪だ。
部室以外に私の居場所は無かった。

だからのめり込み、常に部室にいる人となる。

 

吹奏楽部は意外に思われるかもしれないが、
何キロも走りこみをやったりけっこう筋トレもある。
かなり忙しくヘビーな部類の部活だ。

だが吹奏楽部には女の子との交流もある。
心の中で慕っているかわいい先輩もいたし、
後輩から告白されたり、私の最初の「人生」を感じれた場所だった。

 

そのかわいい先輩が夢中になっていたのが尾崎豊である。
彼女が卒業間際のころにすっごく良いと言うのでお願いして
カセットテープを3本ダビングしてもらった。

彼女に渡した小遣いをはたいて買った3本のマクセルは、
ファンシーな包み、可愛い文字でタイトルが書かれ、
オススメの曲などが書いてある手紙がはさんであり、
すっかり変わり果てた姿になって帰ってきた。

 

まぎれもない女の子の世界。
宇宙より遠いと思われた世界が今この手に。
天にも昇る気分で自転車を飛ばし、宝物の赤いダブルデッキに突っ込んだ。

 

しかしそこには女の子の世界からは程遠い、
聴いたこともない世界がひろがっていた。
衝撃を受けた。

 

まったく知らない世界。ただわからなかった。
良いのかどうなのかわからなかった。
好きなのかどうなのかもわからなかった。

 

不思議な歌詞。叫び。

だが部活以外は完全に敗北していたオレの中に入ってくる。
その後何年も何度も何度ももの凄い回数このカセットテープを聴き続けた。

 

そう。私は尾崎豊で”ロックの洗礼”を受けてしまった。
ああ、カッコわりい。
「ジミヘンでロックの洗礼受けた」とか言いたかった。

 

でもね、未だに自分の作る曲の中に、
尾崎豊の”断片”を、”骨格”を感じるんですよね。