
潜水艦映画とロックとバトン
昨日の“航路”の話で思い出したんですが、
潜水艦映画が好きなんです。
「Uボート」「眼下の敵」「深く静かに潜航せよ」
「U-571」「レッド・オクトーバーを追え」「クリムゾン・タイド」…
挙げたらきりがないほど観てます。
このジャンルってだいたいお決まりの展開があるんだけど、
それがまた良いんですよね。
たとえば、
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爆雷を避けるため、ギリギリまで潜航して船体がミシミシ鳴る
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酸だらけのバッテリー室で誰かが犠牲になって仲間を救う
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死体とオイルを魚雷発射管から射出して、敵に沈没を偽装する
こういう“お約束”が、作品ごとにちょっとずつ形を変えて現れる。
潜水艦映画って、まるでリレーみたいだなって。
過去作の名シーンを引き継ぎつつ、
ほんの少しだけ何かを足して、次の作品へとバトンを渡していく。
そんな風にして、ジャンル自体が静かに進化してる気がするんです。
たとえば「眼下の敵」で、
深海から大音量でクラシックが流れてくるシーンがあるんですが、
後の「沈黙の艦隊」(マンガだけど)では、
モーツァルトをわざと大音量で流しておいて、
少しずつボリュームを絞って、
“まだそこにいる”と思わせておいて、
実はすぐそばに来ている──っていう展開に進化してる。
これって、パロディじゃなくて、バトンなんですよね。
ゾンビ映画も似たような“リレー”がある気がしてて。
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車の後部座席から突然出てくる
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ゾンビが全力疾走するようになった
あの感じも、
「次の誰かが少しずつルールを書き換えていってる」気がするんです。
これって、ロックとすごく似てる。
ちょっとだけ新しい何かをプラスしながら、
バンドからバンドへ、
まるでリレーみたいに紡いで進化している音楽。
若い頃は、昔のロックって退屈に思えてた。
でも、だんだんロックが分かってくると、
ルーツを掘っていくのが楽しくなってくる。
「お約束の進化」をたどるのが楽しくなってくる。
我々も何かリレーを出来たらいいな。
ロックに何らかをバトン出せるよう。
いつもそこは考えて曲作ってる。
「何にも足してない曲」は、
たぶん、一曲も作ってないつもり。
だから──
誰か拾ってくれ、このバトン!www