The Dawn of AI – セルフライナーノーツ
最新作「エレイン・ケインのおきみやげ サウンドトラック」収録の
「The Dawn of AI」と「Elaine’s Replica」について制作秘話です。
この曲らは劇冒頭の第一幕にかかります。
AIのアリスとアリスの製作者リコ・フェニックスのやりとりのシーン。
このシーン、AIのアリスはまだ実体が無いので、リコの一人舞台になってます。
そして状況の説明も多いシーン。役者さんは大変だったと思いますが素晴らしい演技でした。
台本がやってきた6月、「キビキビと動き出す、音楽」「きしむような音」など書かれていて
躍動感をプラスさせる効果を音楽に求められていると感じました。
なのでElaine’s ReplicaとThe Dawn of AIはテンポを一緒にしました。
軽快なテンポ感を第一幕に感じていただきたかったので。
「Elaine’s Replica」はエレインの義体を作っていく過程を表現したビープ音。
私は劇中曲を作るときは台本を実際に自分で声を出して読んでみて、
ストップウォッチで計測し大体の曲の長さを決めてます。
このやり方が正しいのか分かりませんが、
劇団の方が音楽に合わせてくださっていて何とか成立してるかと。
「The Dawn of AI」は第一幕が終わって暗転し、ケイン家のシーンに切り替わるまでの音楽。
タイトルで気が付いた人は話が合いそうですが、
じつは2001年宇宙の旅の第一幕のタイトル「The Dawn of MAN」から拝借。
そう。あの有名なサルのシーンです。
小説版ではあのシーンはかなり長く「月を見るもの」という名の主人公(猿人)の壮大な生が描かれています。すごく感情移入できるし、実際に存在しただろう(そうでなければ人類が存在しない)彼の人生がアツい。2001年好きならアーサー・C・クラークの小説版はマストです。
エレイン・ケインのおきみやげは、まさにAIやアンドロイドという新たな生の暁を描いた作品でもあります。
自分の中ではこのタイトルしかありえませんでした。
曲は「これから素敵なことが始まるんだ」と観客に感じていただけるよう、
テンポが良く、爽快な音楽になるよう曲も演奏も音作りもプランニング。
「グレイテスト・ショーマン」という映画で「もう一度劇場を作ろう」というラスト近くのダンスシーンがあるのですが、あんな雰囲気に出来たらいいな、なんてアレンジしていきました。
旋律はチェロの宮田さん。パーカッションは照喜名仙子さん。
ゲストプレイヤーのおかげさまでラテンのようなジプシーのような雰囲気が出せました。
個人的には、あまり披露する機会がないルンバ奏法(ギターを叩きながらストロークするフラメンコの特殊な弾き方)をやってます。スピーカーの右と左に2本のギターが張り付いていますのでその辺も聞いていただけましたら嬉しいです。
そして、うなるようなベース。天まで突き抜けるスネアの響きを目指してミックスダウンしました。
ぜひアニーのお店でCDご購入ご検討ください。